Blog No.024  去勢と避妊について考えてみます その2

犬と猫の去勢と避妊を考えてみましょう
Photo : Little foster kitten by Alan Huett on Flickr https://flic.kr/p/6xH699

こんにちは

 

今回は前回に引き続きで去勢と避妊についての考察です。

 

前回は去勢と避妊のメリットとデメリットをあげてみました。

 

今回の考察は結果としてJ3の個人的な考えをまとめているだけ、ドッグトレーナー/キャットトレーナー、そしてペットケアのスペシャリストとして自分の理念/目標をベースにした上での考えですので、その辺は予めご理解下さい。

(特に誰か/どこかの団体等の意見を代弁しているとかではないですので)


繁殖をさせる予定や考えを持っていない場合の考察

さて、ここからは繁殖をさせるつもりはない、という場合の去勢や避妊について考えてみましょう。


このケースではメリットやデメリットをよく考えながら進めていく必要がありますね。

去勢/避妊のデメリットについて少し考えてみましょう


まず前回のBlogにあげたデメリットから考えてみましょう。
手術のリスクや負担、術後のストレスについては一過性のものですよね。


まれに術中や術後に亡くなってしまうという悲惨な例も出ていますが、
大多数は安全にできていると思います。


なので術前、術後にご家族がしっかりケアをしてあげれば一過性のデメリットはなくなります。


ではその他のデメリットについては?


[繁殖活動ができなくなる]
まず、繁殖にはしっかりとした知識が必要不可欠とJ3は考えます。


ブリーディング自体にもリスクがありますし、あいまいな知識で繁殖してしまうと、遺伝的疾患を抱えて産まれるというリスクもあります。


そして、一度に数匹が産まれるのがペットです。
確かに新たに産まれた小さな命はとても愛らしくてたまりません。
しかし新たに増えたペットのお世話など、家族の肉体的負担だけでなく金銭的な負担も倍増します。


こうして考えると繁殖活動をすることにもデメリットはあるというように思いませんか?



[肥満になりやすくなる]
これはホルモンバランスが崩れてしまうこと、代謝の力(基礎代謝)が低下することでエネルギーを消費しづらい体になるためですね。


これはあらかじめそうなってしまうんだ、ということを飼い主さんが理解していれば、
食事を減らしたり、カロリーの低いものを与えたり、運動量を増やし筋肉量を維持してエネルギー消費を助けるなどの対応策が浮かびます。


とすると、このデメリットはある程度除外することができるのではないでしょうか?


[♀に攻撃性がみられるようになる]
確かに女性ホルモンが減少し相対的に男性ホルモン量が増えることで、攻撃性が上がる子がいるのは事実です。


ただ一方で、避妊手術の時期次第では、攻撃性ではなく、子犬のような愛らしさ協調性を保つことができるということがあるそうです。


とすれば女の子の場合は時期を考えればこの問題はかなり緩和されるのではないでしょうか?


では、避妊や去勢のメリットは本当にメリットたりえるのでしょうか?

それでは次にメリットと言われる点について考えてみましょう。



[病気の予防]
手術をしたからといって確実に病気を予防できる、とは言えません。


ただ、病気の原因となる箇所がなければその可能性がなくなるので、全体的な罹患リスクとなると手術した場合のほうが低くなるのではないでしょうか?


やはりメリットが目立つ気がします。



[望まない繁殖を防ぐ]
平成25年度のデータでは、犬猫あわせて128,241匹が殺処分されているとのこと。
そのうち、63,916匹が幼体ということでした。


参考:環境省HP 統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」より
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html


平成25年度で犬猫の殺処分が約13万頭、うち幼齢個体が約半数の6.4万頭。。
環境省:統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」(平成25年度 ) 関連資料より抜粋

このデータをみると、約5割が子供なのですね。


これを考えると、繁殖を適切にコントロールすることで、犬猫の殺処分が最大5割近く減らすことができるのではないでしょうか?
(かなり大雑把な計算なので、突っ込まないでくださいね)
 
すると望まない繁殖を防ぐことが、この殺処分数を減らすことに寄与するのではないでしょうか。


これって日本をペット共生先進国にしたいJ3としては非常に大きな意味をもっています。
ということで、J3としてはメリットだらけです。


[マウンティング、マーキングの抑制]
必ずしなくなる、というわけではないのですが、例えばマーキングなどはその行動が定着してしまう前に去勢することで、その行動を(マーキング)をやる必要がないから覚えない、となります。

 

実際、小さい子たちはマーキングしてないですよね?


マーキングやマウンティングを嫌だと思う方にとっては去勢は1つの手段になります。



[発情によるストレスをなくす]
女の子にとってはヒート中(発情期間中)行動が抑制させられることになります。

 

男のにとってはヒート中の女の子をみるとその気になってしまうため、それを抑えるストレスがかかります。

 

絶対にヒートをさせない方法は避妊だけです。


また、私たち人間側も、ヒート中は気を使わなくてはなりません。
血液がいろいろなところについてしまうこともあるでしょう。
興奮した男の子の行動が不快と思う方もいるでしょう。


発情させないことでこれらの人間側のストレスが緩和されると思いませんか?
 
従って、要らないストレスをなくすという面ではやはりメリットが目立ちますよね。



ここまでメリットとデメリットを検証してみましたが、いかがでしょう?


去勢・避妊を考えてみるとやはりメリットが目立つ気がします。


逆にデメリットは対応方法があるので、デメリットとして思っていた割合が小さくなった気がしませんか?

結果としてJ3はこう思います

こうして考えていくと、今の日本ではやはり繁殖を考えていない飼い主の皆様に対しては、様々な観点から去勢・避妊をおすすめする、という結論なのかな、と思います。


もし繁殖を考えている場合は、以下の点をしっかりと考えて行ってください。
  • 適切なブリーディングの知識を持つ
  • 生まれてくる子達が遺伝的疾患を抱えるリスクを認識しておく
  • 金銭的/身体的負担をあらかじめ想定しておく
  • 信頼できる獣医師の先生と連携する
  • 子供達の面倒をしっかりとみれる環境にしておく

長くなってしまいましたね。


ここではあくまでJ3が個人的にドッグトレーナー/キャットトレーナーとして活動している中で、
日本をペット共生先進国にし、最終的に殺処分ゼロを目指すために去勢・避妊について考えてみた1つの意見としてまとめてみました。



ペットは命ある家族です。

そしてペットは人間社会で生きるという性格上、我々人間が責任をもって暮らしていく必要があります。

皆様もいろいろな書籍やWEBの情報をみたり、お友だちや獣医師さんなどとお話をして一度考えてみてはいかがでしょうか?